LET’S A CAPPELLA AGAIN ( 1 )

Yeah Yeah ♪
Let’s Ondo Again あの時の興奮を♪
Let’s Ondo Again 音頭の季節だよ♪

NIAGARA FALLIN' STARSのアルバム「LET'S ONDO AGAIN」収録
アミーゴ布谷「Let's Ondo Again」より

アカペラを愛する皆さん、はじめまして。
アカペラ研究室「LET’S A CAPPELLA AGAIN」のアカペラ・プロデューサー、細井涼介です。

あれは暑い暑い2018年の夏の日の夜、8月21日のこと。
あるアカペラ動画企画のために、高田馬場のベースオントップというアカペラスタジオに行きました。
そこでばったり、数年ぶりにA-realizeの杉村さんにお会いし、こう言われました。
「アカペラ研究室『LET’S A CAPPELLA AGAIN』の動画見た。森のくまさん。面白かった。あれ見てる人はすごいなと思っても、たぶん何がすごいのかよくわからないよね?ちょっと解説コラム書いてくれない?」と。
杉村さんははるか10年以上前からの面識があり、私もちょうどアカペラをアゲインし始めたタイミング。
これは良き偶然だと思い、筆を取った次第であります。

何はともあれ、まずはアカペラ研究室『LET’S A CAPPELLA AGAIN』の動画、「森のくまさん」をご覧ください。



今回は2つのことに絞ってお伝えします。
1、アレンジやプロデュースの発想は?何考えてるの?
2、愛しき響き、その名は「アッパーストラクチャートライアド(UST)」。
1、アレンジやプロデュースの発想は?何考えてるの?
これをお伝えするには、私の制作メモと、参加メンバーに当てたディレクション内容をそのままコピペするのが良いでしょうね。

制作メモにはこんな風に書いてあります。
・James Brown的Funk感×Take6 的和声感(プロデュースとアレンジの話)
・ボーカリスト同士のバトルプロデュース(ありさ氏VSよしき氏)(プロデュースとアレンジの話)
・グルーヴにこだわる(アレンジの話)。
・空間系エフェクトにこだわる(ミックスの話)。
・ローにこだわる(プロデュースとミックスの話)。
・Take6の「本物感」+ペンタトニックスの現代性(フィロソフィーの話)。
・ビルボードチャートのヒットソングと並列に聴いて拮抗出来るもの(プロデュースとフィロソフィーの話とミックスの話)。
・2018年的ミックス。クリエイティブミックスとオーセンティックのバランス(プロデュースとフィロソフィーの話)。
・ラストまりえ氏の笑い声:ナイアガラ「クリスマス音頭(※)」風のエフェクト(プロデュースの話)。
※大瀧詠一さんの名作アルバム「Niagara Calendar」収録の名曲。作品の終盤でコーラス隊の女性陣の笑い声が聴ける。作為的でない人間の喜怒哀楽の表出を逃さず作品にパッケージした大瀧詠一さんの素晴らしいプロデュース能力が味わえる。今回の該当箇所は音楽プロデューサー・大瀧詠一さんへのオマージュとして、1981年バージョンのディープなエフェクトの方を参考にしている。

続いて参加メンバーへのディレクションです。送った原文そのままコピペします。
「<参考>
※全体の参考 - Funk感
james brown - sex machine


※アレンジ最後の部分の歌い方
Take 6 - Sunday's On The Way

→他にも歌い回しの参考になるので、この動画見ておいてください!

※Papの歌い方
Take 6 Rehearsal - Spread Love (UNOFFICIAL Video)


<その他>
16ビートがハネてますが、100%じゃないです。大体80%くらいのハネ感。
とりあえずデモのmidiの具合参考にしてください!」

やはり6声アカペラといえばTAKE6がすごくかっこいいので、その要素をリスペクトして、好きな人が聴けばニヤリとする要素を積極的に隠し込んで行こうということですね。ここに書いて記事にした時点でもう全く隠してないわけなのですが(笑)

続いてありさ氏のボーカルの方向性の相談。こちらも送った原文そのままコピペします。
細井「Funk、ソウル、ブラック系のゴリゴリで力強く攻めていくイメージ。歌詞はくまさんだけど、歌は本当にゴリゴリで良い。女性版ジェームスブラウンみたいなイメージだと面白いかもね!」
ありさ氏「げろっぱ!」
この流れからの、当日実際に歌ってみて、これは女性版ジェームスブラウンというより和田アキ子さん的なイメージが面白いかもねとなり、最終的な方向性が固まりました。
大事なことですが、和田アキ子さんへのオマージュとして「はっ!(1:46付近)」も入れました。

以上がアレンジやプロデュースの発想になります。録音中のディテールはさらに細かい相談やトライが行われますが、大事な大きい枠組みの話はこんな感じであります。

つまりアカペラ研究室「LET'S A CAPPELLA AGAIN」で大事にしているのは以下の内容なんです。
・音楽的な分母。どんな音楽を聴いて、どのような影響を受けてきたのか。そして自分はそれをどう解釈して、どう自身の作品に落とし込んで表現するか。
・アレンジがマニアックで込み入っているので、出来る限りパッと聴いて楽しめるキャッチーな要素を盛り込む。リードボーカルの技だったり、熊の鳴き声だったり笑、人間の喜怒哀楽が表出する瞬間だったり。
・ミックスのローと音圧のガッツ。楽器のあるポップ・ミュージックのヒットソングと並列に聴いて音圧のガッツは並列に聴けるものになっているか、ローのガッツはビルボードの最新ヒット曲と並列に聴けるものになっているか。

アカペラ研究室「LET'S A CAPPELLA AGAIN」の作品は普通に見て頂いて、楽しんでもらえればそれがとても嬉しいですけど、「こんなこと考えながら作ってるのか」と制作の裏側も思いながら見て頂けたらそれもまたありがたき幸せですね。

今回のコラムはここまでです。
この記事やアカペラ研究室「LET'S A CAPPELLA AGAIN」の作品への感想、心よりお待ちしております!
「こんなことを解説して欲しい」みたいな声もあれば、やるかもしれません!
感想やリクエストは、下記TwitterやInstagram、youtubeやブログのコメント欄でも何でも大丈夫です。よろしくお願いします!

次に一番大事なお知らせです!
アカペラ研究室「LET’S A CAPPELLA AGAIN」の新作は2018年10月後半に公開予定です。
そしてそのすぐ後にも、女声のみで濃密なアカペラワールドをお届けするアカペラ研究室「LET'S A CAPPELLA AGAIN」の番外編 -レディースデイ企画-も公開予定です。
どちらも入魂の作品(今作ってます)になりますので、公開の際はぜひお聴きください!

よろしくお願いします!

LET'S A CAPPELLA AGAIN!!
アカペラ・プロデューサー、細井涼介

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日付:2018年11月11日

コラム

この記事を書いた人:細井涼介

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